SALとシンクロン、欧州初のニオブ酸リチウム薄膜プラットフォーム構築に向けて協業
2026.07.16
Silicon Austria Labs(SAL)とシンクロンは、欧州初となる同種のシンクロン INACOスパッタ成膜プラットフォームを、オーストリアのVillach市にあるSAL MicroFabに導入することで協業します。本プラットフォームは、欧州で構築が進む200 mm薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)バリューチェーンにおいて、ニオブ酸リチウム薄膜材料系を社内で開発・制御するための重要な成膜能力を提供します。これにより、欧州における先端ニオブ酸リチウム材料技術へのアクセスを強化し、集積フォトニクス、RF、センシング、量子技術、次世代マイクロシステムなどの分野における技術のスケールアップを後押しします。
薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)は、次世代の高性能技術を支える戦略的な材料プラットフォームとして注目されています。優れた電気光学特性、非線形光学特性、機能特性を備えることから、高速光通信、RFフォトニクス、センシング、量子技術、コパッケージドオプティクス、先端マイクロシステムなど、幅広い応用が期待されています。一方で、これらの技術を産業利用へと進展させるには、個別のプロセス技術だけでなく、材料成膜、積層膜構造最適化、デバイス作製、集積、評価、さらには将来的な産業移管までを含む、統合的かつ制御されたプロセスチェーンが不可欠です。
高品質で用途に最適化されたニオブ酸リチウム膜を安定的に確保することは、TFLN技術を研究段階から実用化・量産化へと進めるうえで、依然として重要な課題です。SALは、高度なスパッタ成膜能力を社内に導入することで、結晶性、屈折率、応力、表面粗さ、密着性、ウェハ面内均一性など、材料構造膜形成に関わる主要な要素をより高いレベルで制御できるようになります。これにより、限られた材料供給源への依存を低減し、トレーサビリティを向上させるとともに、将来の用途に応じた再現性の高い薄膜構造の開発が可能となり、欧州における200 mm TFLNバリューチェーンの強化につながります。
シンクロン INACOシステムは、ニオブ酸リチウムおよび関連する機能性材料の高度なスパッタ成膜に対応する、柔軟な開発プラットフォームとして設計されています。多様な基板やアプリケーション要件に対応しながら、新たな材料系やプロセスウィンドウの探索を支援します。SALにとって、この柔軟性は、先端薄膜技術を産業応用へと展開する前段階において、成膜条件、材料品質、ウェハレベルでの再現性の関係を理解し、制御するために重要な要素となります。
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弊社の執行役員兼取締役である浅野は、次のように述べています。「シンクロンは、欧州における200 mm対応TFLNプロセスラインの確立というSALのビジョンに貢献できることを大変光栄に思います。フォトニクス技術が産業応用に近づくなか、成功の鍵となるのは、材料形成からウェハレベル製造に至るまで、プロセスチェーン全体を理解し、最適化し、再現する力です。INACOプラットフォームは、まさにこの考え方に基づいて開発されました。産業製造への明確な道筋を見据えながら、プロセス探索、材料構造の最適化、技術成熟を支える柔軟な環境を提供します。」
さらに浅野は、「SALおよびそのパートナーの皆さまが、INACO上で開発されたプロセスを、堅牢で再現性が高く、スケーラブルな製造へと確信を持って移管できるよう支援することが、シンクロンのコミットメントです」と述べています。
今回の協業では、シンクロンが有する先端薄膜成膜装置に関する専門性と、SALのクリーンルームインフラ、プロセスノウハウ、アプリケーション志向の研究環境を組み合わせます。材料開発をウェハレベルプロセス、デバイス集積、将来的な産業移管へと繋げることで、両者は欧州におけるニオブ酸リチウム系薄膜技術の成熟を加速していきます。
Silicon Austria LabsのシニアディレクターであるDr. Mohssen Moridiは、次のように述べています。「シンクロンとの協業は、ニオブ酸リチウム系薄膜技術において、欧州独自の差別化された能力を構築するための重要な一歩です。欧州初となる同種のシンクロン INACOプラットフォームにより、SALはTFLNバリューチェーンにおける重要なボトルネックである、高品質かつ用途に応じた材料構造への安定的なアクセスという課題に対応します。これは、欧州が個別のプロセス工程にとどまらず、成膜・プロセス開発から将来的な集積および産業移管に至るまで、先端薄膜材料に対するより深い制御を確立していく上で不可欠です。」
本取り組みにより、SALは、材料構造開発、ウェハレベルプロセス、集積、評価、将来的な産業移管を組み合わせた、欧州初の200 mm TFLNプラットフォームの構築に向けて大きく前進します。ニオブ酸リチウム系薄膜成膜と下流のデバイス作製とのギャップを埋めることで、SALは産業パートナーによる初期段階のプロセス開発から、再現性・拡張性・用途適合性を備えた薄膜技術への移行を支援します。
今回の導入により、Villach市のSAL MicroFabは、先端薄膜プロセス、集積フォトニクス、量子技術、RF応用、センシング、産業的に重要なマイクロシステムに対応する欧州のクリーンルームインフラとして、さらに強化されます。SALは、材料構造に関する専門性とプロセスノウハウを欧州内で直接構築することで、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、および関連材料系を含む次世代機能性薄膜材料を、材料開発からスケーラブルな応用、将来的な産業移管へとつなげるためのインフラ、能力、パートナーネットワークを整備していきます。また、本システムは200 mmプロセスを主眼としつつ、300 mm対応を見据えたプラットフォームコンセプトを備えており、CMOS関連エコシステムを含む、より広範なウェハレベル技術プラットフォームとの将来的な協業にも道を開きます。





